店主のひとりごと

 

  • 2020年05月14日(木)10時07分

電源事情2

殆どの方が「そんなの関係ない」と思われるかもしれない「これはやったらダメ、これはやったほうがいい」を紹介してみよう。対策を色々やって得た知識の中には私一人ではなく、佐藤俊哉(佐藤匠)さんのアイディアや経験によって得たものが多いということはお断りしておく。

携帯電話やスマホのバッテリー
スマホのバッテリーをコンセントに繋いだままオーディオを鳴らした場合、電気ノイズが乗る。従ってオーディオを聴く場合は充電器をコンセントから外す、ないしはテーブルタップにon, offのスイッチがある場合はoffにしておく。Onの場合とoffの場合ではSN比がかなり違う。

壁コンセントのカバーやテーブルタップ
壁コンセントのカバーを金属のものにしていたのだが、テストとしてプラスチック・カバーにしたらSN比が向上し、テーブルタップでも同様の結果だった。
理由がイマイチ分からなかったのだが、北海道オーディオショーの時に知り合いのコンセントなどを作っているメーカーの方に聞いたら「金属をカバーに使うとアンテナの役割をしますので、おっしゃる通りです」とのことだった。と言いながら、そのメーカーさんは金属カバーのコンセントを作っていたのだ。

照明
照明で音の良い順番は、1番が白熱球、2番がLEDそしてダメなのが蛍光灯である。最近はまだ手には入るものの日本での白熱球は製造されていないのではないだろうか。オーディオには苦難の時代である。私も現在は光量の問題と入手困難という理由でLEDにしている。

パソコンの弊害
パソコンの場合はスイッチをonにしておくとハードディスクが回って回転音が出るので、これもSN比に影響が出る。同じ部屋に有る場合は出来るだけ電源は切っておきたい。

お役に立つようであれば試して頂きたい。


Doris Day / Sentimental Journey – Columbia CS-9160
対策が適切に行われるとフェロモンを感じることが出来るかも

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  • 2020年05月14日(木)10時05分

電源事情1

レコード店を始めたときは宗像郡津屋崎町勝浦に住んでいたのだけど、勝浦は数十件の集落が7~8個、それも広範囲の地域に点在しているような田園地帯である。私のところはその中の一区画にあり、周りは田圃と何軒かの民家、ご近所とも音をバリバリ鳴らしてもご迷惑にならない程度の距離があった。
皆さん「田舎アンプ」という言葉をご存知だろうか?これは以前から言われていることなんだけど、田舎になればなるほど音が良くなるという意味なのである。

何が違うのかというと電源事情が全く違うのである。ご近所の電気の使用量が都市部の雑居ビル、商店街のお店、住宅地の戸建てなどと比較しても極端に少なく、例えば都市部の雑居ビルが口径1mm程度の電線で電気が伝わってくるような状態としたら、田舎のご近所が少ない場所だったら口径100mmいや口径1,000mmもある電線で電気が供給できている状態になるわけだ。結果として商用電源によるノイズが極端に低くなるのである。そして結果は「田舎アンプ」ということになる。

それと、レコード店を始めるかなり前、オーディオを始めて間もない頃だったが家の改築をやって防音目的のためにオーディオルームを作ってもいた。当時の私はオーディオの知識は全くと言っていいほどなくて、大工さんと大建工業の営業の方に「音が漏れないようにはどうしたら?」と相談して作っていいたのである。後で知ったことだが、ルームアコースティックが奇跡的に優れていたのだ。もう一つ、オーディオ用のコンセントのみブレイカー部分で切り離して専用にしていたということもあり、また振動対策などはかなりやっていたのである。一つ例を上げると、ケーブルが床に接触しないように洗濯バサミや備長炭を細い棒状に切って一合枡に入れたものを支えにしていたりしていた。

そんな状況でレコード店をスタートしたわけだが、ご来店いただいたお客様の反応は私の想像以上のものがあった。「こんな音初めて聴きました」とか、中にはレコードを聴いて涙を流した方も。ひょっとしたらいい音が出ているかもしれないとか思いながら、でも本当は自分ところの音のレベルなのか分かっていなかったのだ。

2008年、都会に近いほうがもっと来客が増えるだろうと新宮町桜山手に移転した。場所が変わったら音が変わるなんて想像もできなかったが、システムは同じなのにご来店いただいたお客様からは「勝浦のほうが良かった」との感想である。何で?部屋が太鼓みたいな作りになっているので響きが多い?天井の形状が斜めになっているので反射がおかしいなどなど?いろいろ考えてそれなりの対策をやってみたが少しは改善しても根本的にダメだったので、アンプを変えることにした。それまで愛用していたミュージック・リファレンスとマコーマックのプリ&パワー・コンビから、憧れていたコンバージョンド・オーディオ・テクノロジーのプリ&パワーに。価格差はなんと約10倍である。
でもお客さんの反応は変わらないのよね。桜山手に5年住んでいての結論が、建物の50mほどのところに高圧線の鉄柱があり、天気のいい日に外に出て眺めていると「ジーッ」と音が出ている。つまり電源事情が最低なのだ。「ここではいくら頑張っても無理」と思い、古賀市花見に移転することにした。花見は立地的に音への影響があるようなものが何もないというのが選んだ理由である。

花見に移転して8年、勝浦のときは「田舎アンプ」という強力な武器を持っていたのだけど、花見は部屋がオーディオ用ではなくて普通のリビングということでやることは多かった。しかし最近はご来店いただいたお客様からは「勝浦の・・・」を言われなくなったのだ。
何度も失敗することによって「これはやったらダメ、これはやったほうがいい」が積み重なってきたのと色んな経験が音を判断させる能力を向上さたのかもしれない。


Abbe Lane / Be Mine Tonight - RCA Victor LSP 1554
上手く再現できたらアビー・レーンがステップを踏んで腰を振りながら歌ってくれるかも

アップロードファイル 158-1.jpg

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  • 2020年05月12日(火)14時28分

周辺環境の整理

これまでいろんな対策をやってきたが、オーディオ機器以外の周辺環境を整備することによって音質向上に役に立つこともあるので、述べてみよう。中には「エッ、こんなことも」というものもあるのだ。

1 左右スピーカーの間には必要最低限のものしか置かない
昔、私も使ったことのあるセパレート・ステレオみたいなタイプであれば左右スピーカーの間にアンプ、プレーヤーなどが収まっていたのだが、左右のスピーカーは自由な位置にあるべきで、パワーアンプを除いて他のものは置かないことが重要である。プレーヤーを載せたラックやTVなどを置いている方もいらっしゃるが、即刻取っ払って頂きたい。置いた場合には音の姿形は出にくくなる。

2 スピーカーとリスニングポイントの間には物を置かない
私も以前は応接セット付属のテーブルを置いていたのだが、音の反射が音色を変えるし、定位などに悪影響を与えるので今は使っていない。テーブル類がどうしても必要な場合はせめてリスニングポイントと横並び程度の位置に置くべきである。プレーヤーやプリアンプなどを簡単に操作出来るようにリスニングポイントの前に置いていらっしゃる方も見かけるが、音が伝わってくるのに影響を与えるのでこれも以外の場所に置くべきである。

3 スピーカーと後ろの壁は距離を取る
奥行きや立体音場を望むのであればスピーカーと後ろの壁は距離を取るほうがベターである。日本の部屋はあまり距離が取れないような作りになっている場合が多いが、ある程度の距離は取ってほしい。以前、オーディオ誌で「スピーカーは後ろの壁にくっつけたほうが低音はよく出る」といった記事を読んだことがあるが、私達は低音のためだけに音楽を聴いているわけではない。

4 オーディオ・ルームには1ペア以外のスピーカーは置かない
これは何度も述べてきたことだが、鳴らしていないスピーカーも振動するので余計な音が乗って音質劣化の原因になる。パソコンの外付けスピーカーを付けただけでも音の劣化は見られた。また、オーディオ誌の個人のお宅の記事などで高級スピーカーを何セットも並べていらっしゃるのを見かけることがあるが、誰か教えてあげればいいのにとも思う。

5 反射するものは極力置かないようにする
例えば、額に入った写真、絵など反射するものは置かないほうがよりベターである。逆に吸収するものは置く場所によっては効果がある場合もある。デザイン的には見た目もいいかもしれないが、特にスピーカー背面の壁には禁物である。レコードのジャケットを左右スピーカーの真ん中後ろに置いてあったことがあるが、外したことで奥行きがグンと深くなった事があった。私達は直接音と間接音を聴いているので、適度な反射、適度な吸収は必要だけど、反射し過ぎるものは置かないことに限る。

以上は簡単に出来ることなので試して頂いたらいい結果が得られるかもしれない。


Beethoven: Bruno Walter / Symphony No. 6 In F Major, Op. 68 "Pastorale" - Columbia MS 6012

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  • 2020年05月12日(火)10時45分

目標とする音1

たまにお客様から「振動対策はどうやっていますか?」、「ルーム・アコースティックは?」といったオーディオの音質向上対策について質問をいただくことがあり、現状で自分がやっている方法をご紹介することがあるのだが。
ちょっと待てよ、よくよく考えてみたら「私がオーディを始めた頃は、どんな音がいい音で例え対策をやってもそのことによって音質が向上したかそうでないのかといったことが分からなかった」ということを思い出した。これではいくら効果的な対策の情報発信をしても相談いただく方が明確な目安を持たないと私と同様、分かりにくいのではと思えてきたのである。
今の時点のまとめとして書いてみることにするが、以前に書いたことと重複することもあるのでそのへんはご容赦いただきたい。

30年以上前のこと、ダイヤトーンのDS-2000というスピーカーをメインに、ソニーのプリメイン・アンプ、ケンウッドのプレーヤーという組み合わせでシステムを組んでオーディオをスタートさせた。それまではパイオニアのセパレート・ステレオを使っていたので金額も含めて格段の進歩である・・・と思っていた。

それからステレオ誌(音楽の友社)に金子さんという方が書いておられた音質向上対策が自分でも出来そうだったのでやってみた。
スピーカースタンドはブロックの下部にベニヤ板で蓋をして、空洞になったところには砂を詰めて全体をベニヤ板で覆い、その外側にブチルゴムを貼り、最後はビロードの布を貼って出来上がりである。見た目はよく出来て、スピーカーの下に敷いてもガタツキはなく高さが丁度いいくらいの高さになった。しかし残念なことに音の変化が分からなかった。
スピーカーの置き方についてもおステレオ誌などに、左右の間を広げたり狭めたりすると1箇所だけ最も音のいいポジションがあると書いてあるのでやってみたけど、正直なところどこに置いても一緒なのである。
また、電源ケーブルは芯が太いほうが有利ということで奥内配線に使うキャプタイヤにブチルゴムを巻いて外側は布地で覆ったものにしたが、これも音質の変化は分からなかった。

その数年後になるが、シンメイさんが佐藤匠を連れてきて、佐藤氏に30分ほどプレーヤー調整とスピーカーの置く位置の調整をやってもらったら、あら不思議、それまで左右スピーカーの内側にしかなかった音が、スピーカーの外側まで広がったのである。
結局、我流でやったプレーヤー調整やスピーカーの置き方がデタラメだったので何をやっても同じだったということである。

この頃の私にはどんな音がいい音とかの基準がないものだから、間違った調整をやっていても分からなかったし、少し良くなった程度ではこれも理解できなかったのである。


振動対策の例
左上:ケーブル類は床を這わせると振動を拾いやすいので出来るだけ床を這わせないようにしている
右上:パワーアンプを床に直置きにすると振動を拾いやすいので花凜のサイコロで持ち上げている
左下:昇圧トランスの足は自作のボードで持ち上げている

アップロードファイル 156-1.jpgアップロードファイル 156-2.jpgアップロードファイル 156-3.jpg

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  • 2020年05月12日(火)10時41分

目標とする音2

アンプ、プレーヤーそしてスピーカーなどを高価なものにすれば音質は必ず向上すると考えている方はオーディオ・マニアの90%以上はいらっしゃるだろうし、30年前の私もそうであった。
もっと良いシステムにしようとオーディオ店めぐりをしていたのだが、なかなかこれはという音を聴かせてくれるオーディオ店には出会わなかった。

やはりオーディオ誌からの情報で、目の前でコンボやオーケストラが演奏している様子が分かるような音があるだろうとおぼろげに求めていたのだが、出会いがないのである。
そうしている内に出会ったのが熊本のオーディオショップ・アリミズさんである。ありました、目の前でモダン・ジャズ・カルテットが演奏している様子がオーディオから出てきたのである。自分がおぼろげながら求めている音が目の前にはっきり出てきたのだ。ミルト・ジャクソンはセンターから右側にかけて立ってヴァイブを奏でているし、ジョン・ルイスは左側に座ってピアノを弾いて、パーシー・ヒースはセンター後方でこれも立ってベースをパワフルに弾いて、コニー・ケイは右後方で座ってドラムを叩いているのである。その時の衝撃は今でもはっきりと覚えている。
スピーカーがマーチン・ローガンCLSだったのでそのスピーカーに憧れてしまった。

以後、マーチン・ローガン購入までの経緯は省くが、購入してからは相当な苦労があった。目出度くマーチン・ローガンとアンプ、プレーヤー、ケーブル&カートリッジが揃って音を出してみると「あれ、思っていた音とは違う」である。
この頃、大建工業のオトテン、オトカベ、オトユカでオーディオルームを作っていたし、シンメイさんの助言や佐藤匠の力を借りながら様々な対策をやったおかげである程度の立体音場、つまり目の前で演奏している様子は再現できるようになった。

これで満足していたつもりだったのだが、レコード店を始めてからお客様宅に伺う機会が増え、立体音場を上手く再現しているケースにはあまり出会わなかったが、凄くふくよかな音を出している方もいらっしゃった。
現在進行系ではあるものの、この頃に自分が出したい音がわりあい明確になってきて、目の前で演奏していることが分かりなおかつふくよかな音そしてナチュラルな楽器の音色やヴォーカルでは人の声が人の声として聴こえるような音を求めるようになったのである。

ただその後、新宮町に移転したことでこれまで積み上げてきたことが全くゼロになったこともあったし、再度古賀市に移転して、こちらでは周辺の条件や部屋の作りがそんなに悪くなかったので、対策を施すことによってある程度のレベルまで積み重ねられてきたのである。

オーディオはどんなに高価なシステムを導入しても、置いただけでは能力は発揮できないので、ルーム・アコースティック、振動対策その他を的確にやることによってシステムの能力を引き出すことが出来るのである。また、目指す音がはっきりしていると音質の進化は早いと考えている。


ルーム・アコースティックの例
左上:定在波対策のためにスピーカーのセンター及び左右後方にチューブトラップ
右上:上下が平行な面の場合反射が出るので、レコードラックの天板にハーフトラップ
左下:フローリングは反射が多いので絨毯でカバー

アップロードファイル 155-1.jpgアップロードファイル 155-2.jpgアップロードファイル 155-3.jpg

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